あの時、直感で『NO』と言えた自分を褒めたい

考え方

社会人1年目、見た目は完璧な商品に違和感を覚え、「なんか変だ」と感じた直感を信じた。
あのとき、行動しなかったことで守れた自分が確かにいた。今なら、あの判断をした自分を少しだけ誇りに思える。

焦らなくてもよかったんだ

ずっと「チャレンジしないと損だ」と思って生きてきた。
成長するには行動あるのみ、そんな空気の中で過ごしてきたけれど——
最近ふと、“やらなかったことにも意味があったんじゃないか”と思える場面が増えてきた。

動かなかった選択に救われた話

入社一年目の頃、職場に時折スーツ姿の保険レディがやってきていました。業務室にスッと溶け込むように入ってきて、気づいたら同僚と談笑している。「どこぞのスパイか?」と思うくらい自然な流れでした。

私にも声がかかり、話を聞いてみると紹介されたのはドル建ての変額保険
内容はざっくりと、40年間積み立て続けて、最終的に年利3%ほど。途中解約には厳しい条件がつくタイプのもの。

当時は超低金利時代。銀行に預けてもほとんど利息がつかない時期で、確かに魅力的に見えました。
大学時代に経済を学んでいたこともあり、投資やお金の話には少し興味があったんです。

見栄えのいい資料、丁寧なレクチャー、仕事終わりの個別説明。
何度か会っているうちに信頼も芽生え、ついに最終ステップ。
食堂で“上司らしき人”も同席して、契約直前まで話が進みました。

——けれど、ふと疑問が浮かびました。

「もし本当に良い商品なら、わざわざ新人に紹介しなくても、自分たちで買っておけばよくないか?」

たかだか3週間ほど関わっただけの新入社員に“おいしい話”を持ってくる理由は、果たして何だろう。

親しい友人や家族にならともかく、私に?
その時、直感的に「これは違う」と感じたんです。

お姉さんたちの笑顔の奥にある“営業のにおい”を感じ取ってしまったのかもしれません。

その10分後、「やっぱり結構です」とお断りしました。

同期の中には契約してしまった人もいましたが、後に聞いた話ではやはり補償内容が薄く、条件も厳しいものだったようです。

いま思えば、あのとき“動かなかった”自分に感謝しています。

行動が正義じゃないと気づけた日

行動することはもちろん大切だけど、それだけが正義ではない。

一歩引いて考える。立ち止まる。不安になる。その時間が、自分を守ってくれることもある。

あの頃は「挑戦しなきゃ」と焦る気持ちが強かったけど、あの経験がきっかけで、少しだけブレーキをかける力も大切だと知りました。

動かないことで救われることもある

“あのとき動けなかった自分”を責めるより、“動かなかったことで守れた何か”にも、もっと目を向けていい。

すべての挑戦に乗る必要はない。
慎重だった自分、疑問を持った自分を肯定できるようになった今、「やらなかった選択も、意味があった」と思えています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました