「配当利回りが高い株はお得!」と思っていませんか?
確かに高配当株は、定期的な収入が得られる“安心感”があります。しかし、数字の高さの裏にリスクが潜んでいることも──。
本記事では、初心者が見落としがちな高配当株の落とし穴や、実際に投資で失敗しないための銘柄の選び方を、やさしく丁寧に解説します。
“高利回り=安心”という思い込みを手放して、後悔しない投資判断を目指しましょう。
この記事はこんな人におすすめ
- 株式投資を始めたばかりの初心者
- 配当目的で銘柄を選ぼうとしている人
- 高配当株に“安心感”を持っている人
高配当株の「魅力」は何か?
配当利回りが高いと何がうれしいのか?
配当利回りとは、株価に対してどれだけの配当金が支払われるかを示す指標です。
たとえば、同じ資金を投じるなら、利回り3%よりも5%のほうが多くの配当を受け取れるため、投資効率が高く感じられます。
また、定期的に配当金を受け取れる安心感も高配当株の大きな魅力。
資産の値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う投資は、売却タイミングを見極める難しさや心理的な負担もありますよね。
その点、配当金は自動的に現金として手元に入ってくるため、「売る・売らない」で迷うことなく資金が得られます。
まるで“疑似的な給与”のように、安定的なキャッシュフローが得られるのは心強いポイントです。

高配当株の「罠」とは?
配当が高い=業績が良い、とは限らない
「配当が高い企業=業績が良い」と思ってしまいがちですが、必ずしもそうではありません。
たとえば、業績が悪化しているにもかかわらず、株価の下落を防ぐために無理やり高配当を維持する企業もあります。
この場合、配当の原資は本来の利益ではなく、内部留保や資産の取り崩しによってまかなわれている可能性があります。
無理な配当を続ければ、やがて企業の体力をじわじわと削ることになり、経営の持続性に疑問が生じます。
減配・無配のリスクもある
配当金は「毎年確実にもらえるもの」と思われがちですが、企業の経営判断ひとつで減配や無配に転じることもあります。
たとえば、2020年の日本たばこ産業(JT)は、減配見通しを発表したことで大きな話題となりました。
それまで安定配当を続けていたJTの方針転換により、多くの投資家が失望し、株価も大きく下落しました。
このように、高配当株にも大きな変動リスクがあることは、常に意識しておくべきポイントです。
初心者が見落としがちな指標と注意点
配当性向の確認は必須
高配当株を選ぶ際には、「配当性向」という指標をぜひチェックしましょう。
配当性向とは、企業が稼いだ利益のうち、どの程度を配当に回しているかを示す割合です。
一般的に、配当性向が30〜50%であれば、バランスの取れた株主還元と考えられます。
(日本の上場企業全体では30%前後が一つの目安です)
一方で、配当性向が80〜100%近くに達している企業は、利益のほとんどを配当に回していることになります。
このようなケースでは、将来の投資余力や企業体力の低下につながるリスクも考慮が必要です。
新規開拓をする市場がないため、既存市場でどれだけ稼げるかになります。成長しきったおじいちゃん企業みたいな感じです。
逆に、極端に低い場合は「株主還元の意識が薄い」と捉えることもできます。
一時的な高利回りに注意
株価が大きく下落したタイミングでは、配当利回りが“見かけ上”高くなることがあります。
たとえば、業績悪化を市場が織り込んで株価が急落した場合、「利回り8%超」のような数字が出てくることもありますが、
その裏には減配や業績悪化のリスクが潜んでいる可能性も高いです。
単に「利回りが高いからお得」と飛びつくのではなく、株価の動きや企業の状況を冷静に確認する習慣をつけましょう。
高配当株投資の上手な付き合い方
安定配当の実績企業に注目
高配当株を選ぶ際は、長期的に安定した配当を出し続けている企業に注目しましょう。
「過去10年間、一度も減配せず、むしろ増配傾向にある」といった実績があれば、経営基盤や方針に信頼感がある証拠になります。
一時的な“おいしい話”より、長期で付き合える企業を見極めることが肝心です。
利回りだけでなく「トータルリターン」で考える
いくら配当が多くても、株価が下がって資産全体が減ってしまえば、意味がありません。
配当によるインカムゲインだけでなく、株価上昇によるキャピタルゲインも含めた「トータルリターン」で投資効果を判断しましょう。
数字の一部分に惑わされず、総合的に評価する視点が大切です。
長期視点でのポートフォリオ戦略を
高配当株だけに資金を集中させるのは、リスクの面で不安があります。
成長株やインデックス投資、REITなどと組み合わせることで、リスクを分散しながらリターンを狙う戦略も有効です。
配当はあくまで投資の一要素と考え、「偏りすぎないバランスの良い構成」を意識しましょう。
“うまい話”ほど冷静にチェックを
高配当株は、配当という「見えるリターン」があるため、初心者にとって非常に魅力的に映ります。
ですが、「高配当=安心」とは限らないことをしっかり理解し、数字の裏側や企業の実態を冷静にチェックする習慣が大切です。
リターンの裏には必ずリスクがある。
だからこそ、“うまい話”ほど慎重に。
長く安定した投資ライフのために、数字だけでなく企業の本質を見抜く目を養っていきましょう。
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