はじめに
投資をしていると、多かれ少なかれ「損したくない」という気持ちが顔を出します。
それは自然なことですし、悪い感情ではありません。
でも、その気持ちが過剰になると、「売るべきでない時に売る」「買うべきでない時に買う」といった“感情に流される投資”に陥りやすくなります。
今回は、「損したくない」という感情とどう付き合えばいいかを、実体験を交えて考えていきます。
感情は悪者ではない
「損したくない」という気持ちは、防衛本能の一種。
それがあるからこそ、大きなリスクを回避できる面もあります。
人間が持っている感情の中でも、損失への反応は非常に強力です。
1,000円得した喜びよりも、100円損した悔しさの方が記憶に残る…という経験はありませんか?
これは、進化の過程で「損失を避けること」が生存に直結していたから。
得よりも損を強く感じるのは、生き延びるための本能なのです。
だからこそ、感情そのものを否定する必要はありません。
問題なのは、それに支配されて判断を歪めてしまうこと。
「損が怖いから焦って売る」「周りが買ってるからとにかく買う」といった行動が、後悔を生みます。
自分の「損への反応」を観察する
では、自分は「損」に対してどんな反応をしているのか。
ぜひ一度、問いかけてみてください。
- 含み損を見て、イライラする?
- 焦って売りたくなる?
- チャンスだと思える?
私自身も、投資を始めたばかりの頃は「評価額が下がっただけで怖くなる」ことがよくありました。
でも、経験を積むうちに、「これはあくまで感情の反応で、実際に損をしたわけではない」と冷静に見られるようになってきました。
確かに、含み損を抱えた状態で気分よく過ごせる人は少ないでしょう。
でも、実際に損失が確定するのは、自分が「売る」と決断したときだけです。
感情は感情、行動は行動。この2つを切り離して考えることが、冷静な投資判断への第一歩になります。
損失に強くなるための習慣
感情を完全に消すことはできません。
でも、次のような習慣で、感情との付き合い方を上手にコントロールすることはできます。
✔ 資産チェックは“毎日”ではなく“週1〜月1”にする
暴落時に毎日評価額を見ても、気分が下がるだけで何も変わりません。
必要以上に触れない距離感を持ちましょう。
✔ 含み損を見ても「売らなければ損失じゃない」と唱える
自分が売らない限り、損は確定しません。
“絵に描いた餅”だと割り切る意識が、冷静さを保つ鍵になります。
✔ 日記やブログで「どう感じたか」を書き出す
自分の感情を文字にすることで、客観視しやすくなります。
「人間」という言葉の通り、“人”と“間”で自分を見つめ直す時間はとても大切です。
✔ 下落時の買い増しルールを事前に決めておく
暴落が起きてからでは判断がブレやすくなります。
あらかじめ「〇%下がったら買い増す」と決めておけば、相場が荒れても動じずに行動できます。
本番で感情に流されないために、平常時にルールを決めておくことが何よりも効果的です。
小さな経験が“感情の免疫”になる
私が実感しているのは、含み損に慣れるには経験しかないということ。
最初は数%の下落でもヒヤヒヤしていたのに、今では「よくあること」と捉えられるようになりました。
これは、小さな損失体験を繰り返す中で「感情の免疫」ができていったから。
小額でも投資を続けることで、自然と耐性が育ちます。
感情への強さは、知識ではなく“慣れ”で身につく。
だからこそ、小さな金額でも「場数を踏むこと」が大切です。
未来視点で考えるクセをつけよう
含み損を見てつい不安になったときは、「未来の自分ならどう見るか?」と考えてみてください。
「このとき安く買えたおかげで、将来大きな利益につながった」と思える可能性は大いにあります。
長期的な視点に立つことで、目先の感情に左右されずに済むようになります。
SNSとの距離感も大事
SNSで「爆益!」とか「底で買えた」なんて投稿を見ると、焦ってしまうこともありますよね。
でも、あれはその人の“切り取られた瞬間”であって、あなたの長期航路とは関係ありません。
一時の成功体験であればだれでもあるでしょう。ですがその人がずっと成功し続けていることはありません。
他人と比べず、自分のペースで、感情と付き合いながら進んでいきましょう。
おわりに
投資は、お金を扱うようでいて、実は“感情”を扱う行為でもあります。
「損したくない」という感情を否定する必要はありません。
それよりも、「ああ、そう思う自分がいるな」と受け入れること。
すると、感情は敵ではなく、自分を守るための“サイン”になります。
焦ってしまうこともあります。感情に流されることもあるでしょう。
でも、そのたびに「自分と向き合う機会だった」と思えれば、それは確かな成長です。
あなた自身の投資スタイルを育てる過程で、感情もまた大切なパートナーになります。
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